“ありえない”が始まりになる ― 若者のエッセイが示す食と農のイノベーション
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未来エッセイ2101:食・農業の未来を考えるコンテスト
私たち一般社団法人アグリフューチャージャパンでは、次の世紀、つまり「22世紀の農業や食卓にあったらいいな、できたら良いな」をテーマに1200字でエッセイを書いてもらうコンテストを3年前から続けている。もともとは農業界や食品業界でイノベーションを起こす学校の開校記念としてスタートした事業だが、驚くことに沢山の若い人の注目を集め、今年も全国から1100通以上の応募があり、その半数以上が10代からを占めていた。若い人の柔軟な発想は素晴らしく、中にはそのアイデアには唸らせられることも少ない。
例えば、植物と樹木を掛け合わせ果実として穀物を実らせる技術。22世紀にはコメや麦など様々な穀物は、木の実から生み出され、農家はそれを収穫するのだけとしてきた徳島県の16歳がいた。コメなど穀物は育苗、田植え、水やり、収穫などの作業が大変なのだが、木の実から収穫することで農家はこうした面倒な作業から解放され、また作物を田畑ではなくジャングル育てるため、森林が地球を覆い、地球温暖化が劇的に改善されるという。
また22世紀は植物や土壌の仲に潜む微生物が人と会話できる時代となっていると書いてきた福島県の17歳もいた。植物と会話ができることで、野菜が虫に食べられたり病気になったりしても、食物や土壌がすぐに教えてくれるため、農家は被害が広がる前に対応することができ、野菜の収穫量は飛躍的に伸びるという訳だ。
このほかにも宇宙で食料を作ったり、人間の体の中に葉緑素を取り込み、日光を浴びるだけで栄養を体に生み出すことができる。そんなことを過去に書いてくれた方もいた。
例えば、植物と樹木を掛け合わせ果実として穀物を実らせる技術。22世紀にはコメや麦など様々な穀物は、木の実から生み出され、農家はそれを収穫するのだけとしてきた徳島県の16歳がいた。コメなど穀物は育苗、田植え、水やり、収穫などの作業が大変なのだが、木の実から収穫することで農家はこうした面倒な作業から解放され、また作物を田畑ではなくジャングル育てるため、森林が地球を覆い、地球温暖化が劇的に改善されるという。
また22世紀は植物や土壌の仲に潜む微生物が人と会話できる時代となっていると書いてきた福島県の17歳もいた。植物と会話ができることで、野菜が虫に食べられたり病気になったりしても、食物や土壌がすぐに教えてくれるため、農家は被害が広がる前に対応することができ、野菜の収穫量は飛躍的に伸びるという訳だ。
このほかにも宇宙で食料を作ったり、人間の体の中に葉緑素を取り込み、日光を浴びるだけで栄養を体に生み出すことができる。そんなことを過去に書いてくれた方もいた。
一読すれば馬鹿馬鹿しい、そんなことは出来ないだろうと考えるアイデアも、植物が虫に食べられるときに仲間に向かってシグナルを発信することが最近の研究で明らかになっているし、3Dプリンターやゲノム編集などの技術が年々進化していることを考えると、こうしたイノベーションの実現も実はもう間近なのかも知れない。

Z世代が注目する環境問題:食・農業の未来に必要な視点
一方で、沢山の応募の背景には、それだけ食や農業の未来に課題を感じ、不安を抱えている人が多いのではないかと思っている。当然ではあるが、私たちを支える食料の安定供給は、地球環境と強く関連付いている。気候変動による大規模災害の頻発や、生物多様性の急速な損失。地域によっては病害虫のまん延や地力の低下等の生産現場への影響が深刻化している。
自然や生態系の持つ力を利用して行われる農林水産業において、その活動に起因する環境負荷の軽減を図り、豊かな地球環境を維持する生産方法を目指すことは、重要な課題だ。環境問題に敏感でこれからの時代を生きる若いZ世代にとっては真に自分事で、自らが取り組むべき課題であることは間違いないのだろう。
自然や生態系の持つ力を利用して行われる農林水産業において、その活動に起因する環境負荷の軽減を図り、豊かな地球環境を維持する生産方法を目指すことは、重要な課題だ。環境問題に敏感でこれからの時代を生きる若いZ世代にとっては真に自分事で、自らが取り組むべき課題であることは間違いないのだろう。
農業スタートアップの最前線:SAGURIの衛星土壌分析が拓く未来
すでにこうした課題に果敢に取り組むスタートアップも増えている。例えば衛星からの様々なデータで農地や土壌問題の解決を目指すSAGURI(サグリ)。創業者の坪井俊輔さんは学生時代に訪れたアフリカ・ルワンダで、農業で生きるしかない子供たちに触れ、アフリカの農業をイノベーションで変えたいと、衛星を使った土壌分析を進めてきた。坪井さんには9月に私たちの学校でのセミナーに登場してもらったのだが、かつては分析するだけでも2時間かかっていた土壌分析が、衛星を使うことで窒素やカルシウム、マグネシウムなどが広範囲にしかも瞬時に分析でき、農業現場を劇的に変える可能性があると話していた。
SAGURIにはすでにキリンホールディングスやソフトバンクが10億円の資金提供をして、その活動を支援しているし、また衛星から定期的にデータを取得することで、農地の使用状況が判別できるため、実際に岐阜県下呂市などは、このシステムを取り入れ、人に代わってシステムが耕作放棄地を判別したりしている。こうした技術を元にサグリでは今後、農地の状況を見える化することで農地のマッチングなども手がけていくという。
SAGURIにはすでにキリンホールディングスやソフトバンクが10億円の資金提供をして、その活動を支援しているし、また衛星から定期的にデータを取得することで、農地の使用状況が判別できるため、実際に岐阜県下呂市などは、このシステムを取り入れ、人に代わってシステムが耕作放棄地を判別したりしている。こうした技術を元にサグリでは今後、農地の状況を見える化することで農地のマッチングなども手がけていくという。
日本の生産現場は年々高齢化しており、農業人口は今後20年で30万人にまで減少すると言われている。今年驚くほど価格が上がったキャベツや白菜だけでなく、急激に値上がりしたコメはその象徴ではないだろうか。
残念ながら日本の農業の生産性は極めて低く、少ない人数で今の消費者を養うためには、データや先端技術を駆使して、機械化やスマート農業などを進めていかなければならない。しかし面積が小さくいびつな形の農地が多い日本では、その導入が難しく、今後はアメリカやオーストラリアのような大きな区画の農地が必要だ。SAGURIが行う土壌分析や圃場拡大のための農地のマッチングはそうした生産性の向上のための大きなツールになることは間違いない。
残念ながら日本の農業の生産性は極めて低く、少ない人数で今の消費者を養うためには、データや先端技術を駆使して、機械化やスマート農業などを進めていかなければならない。しかし面積が小さくいびつな形の農地が多い日本では、その導入が難しく、今後はアメリカやオーストラリアのような大きな区画の農地が必要だ。SAGURIが行う土壌分析や圃場拡大のための農地のマッチングはそうした生産性の向上のための大きなツールになることは間違いない。
日本の若者は社会課題に関心が低い?食料・農業政策議論が示した国際比較

残念なことに日本は社会課題に対する若い人の関心が極めて低い国だと言われてきた。2023年に行われた食料・農業・農村基本法改定の議論では、環境やサステナブルに係る消費者の意識と行動が、アメリカやEU、中国など他に比べて極めて低いことが紹介された。世界中から食料が輸入され、いつでもどこでも欲しいものが手に入る日本ではそうした意識が薄かったことは仕方の無いことかもしれない。
しかし食料を取り巻く状況は変わり、自らの食料は自らで調達することが強く求められてくる時代になった。コンテストに寄せられたエッセイやSAGURIの坪井さんのような取り組みは、そうした時代に変わり目を強く示していると感じている。
しかし食料を取り巻く状況は変わり、自らの食料は自らで調達することが強く求められてくる時代になった。コンテストに寄せられたエッセイやSAGURIの坪井さんのような取り組みは、そうした時代に変わり目を強く示していると感じている。
AFJ日本農業経営大学校 イノベーター養成アカデミー
イノベーター養成アカデミーは起業・新規事業開発に挑戦する社会人のための人材育成プログラム。
現役の起業家・コンサルタントによるメンタリング、農業界・産業界・学界の専門家による個別伴走支援、
200以上の会員企業・団体の協力の元、これまでにない新たな価値を協創し、社会実装を目指します。
現役の起業家・コンサルタントによるメンタリング、農業界・産業界・学界の専門家による個別伴走支援、
200以上の会員企業・団体の協力の元、これまでにない新たな価値を協創し、社会実装を目指します。
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執筆 合瀬 宏毅
一般社団法人アグリフューチャージャパン 代表理事 理事長
AFJ日本農業経営大学校 校長
1959年 佐賀県生まれ
山口大学経済学部卒。NHKスペシャル、モーニングワイドなどの制作を担当し、経済番組のプロデューサーを務めたあと、「食料・第一次産業」を中心とする経済問題担当の解説委員。2017年解説副委員長。
これまでに農政ジャーナリストの会会長、食料・農業・農村政策審議会委員などを務める。